油壺のことならなんぼでも喋れた -私の好きなもの-(吉岡富雄)
生野支部Web担当の島田です!
支部役員の皆さんの趣味嗜好を掘り下げて人となりを知ってもらう企画、「私の好きなもの」。
今回は吉岡富雄先生。以前集めていたという「油壺」について話してもらいました。
ちなみに油壺とは手のひらサイズの小さな壺で、行燈に注いだり髪を整えたりする油を入れておいたものだそうです。可愛らしいサイズ感と独特のポテッとしたフォルムが特徴的です。
(この記事は吉岡先生による1人語りのスタイルです。なお、関西弁のイントネーションでお読みください。)
きっかけは先生
学校の先生で油壺を集めてる人がいてはったんよ。多分100個くらい持ってはったかなぁ。
僕は最初は蕎麦猪口に興味持ってたんやけど、「先生、いっぺん油壺見せてくださいよ」ってお願いして見せてもろたら、まぁいろんなデザインがあることに驚いてね。「こんな世界があるのか」と思ったのがハマったきっかけです。
それから骨董市なんかに行っては少しずつ集めるようになりました。
魅力はデザイン
油壺の魅力はデザインやね。絵柄とか色のデザインがいろいろあるところが好きですね。
僕が持ってるのは数万円で買ったもので、古くても明治後期とか大正時代のものやと思うんやけど、もっと古くて価値のあるものやったら何十万円もするようなものもあるからね。
でも僕は見る目があるわけやないから。2〜3万円で買ったものでも、『なんでも鑑定団』に出したら100円て言われるんちゃうかな(笑)
昔お金があったらもっと集めてたと思うわ。そしたら今頃すごいことになってたかも。でも当時はお金がないから買えても年に2〜3個とか。
骨董市で交渉するねん。「25000円?うーん、20000円にならへん?」とか言いながら。そしたらお店の人が「お客さん、2つ買うてくれたら30000円にします」とか言うてきよるんよ。それで「あぁ、偽物か」とピンとくるわけや。安くしてくるというのは偽物というか、時代が新しくて骨董的な価値が高くないってことやからね。
最近は・・・?
生野支部へ来たころに「油壺が好きです」って会報に書いたら、「吉岡先生、骨董の趣味あるんか」と声をかけてもらったこともあるんやけど、正直言うと最近はそうでもないんです。
もともと油壺は生活用品やから数がたくさんあったし、お皿とか絵画とかに比べると集めてる人が少ないというのもあって、値段も手頃で結構買いやすかったんです。
でも近頃は、『なんでも鑑定団』の影響もあると思うんやけど、数も少なくなって全体的に値上がりしてきてるから手が出せんようになってきて。最近は骨董市とか行っても買わなくなったね。見るだけ。8万円とか書いてあったら買ってられない。
昔は部屋に並べておいて、手に取って眺めては楽しんでたんやけどね。少し前に箱に入れて奥にしまったんよ。そしたらあかんね。もう出してこなくなる。
せやから最近は、油壺の熱はすっかり落ち着いてます。昔は油壺のことだけやったらなんぼでも喋れたけどね。今の趣味は完全に孫のほうに移ってます(笑)